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オタクのパパの日常

ヴェルビン(ナの国近衛騎士団長仕様)に関する考察

どうもどうも。三度の飯よりダンバインが好きなボクです。突然のカラバリヴェルビンに驚愕した方々も多いことかと思います。ボクもその一人なんですが、素直に大喜び…というわけにはいかず。正直言えば「なんだこれ? 知らんぞ、こんなオーラバトラー…」という困惑が大きい。

なんとなく納得いかないままだとスッキリしないので、資料を再検証してみようという記事です。

 

疑問点

製品ページを見て、疑問に思った点は大きく3つ。

  1. なぜナの国なのか。ヴェルビンはアの国では?
  2. ナの国近衛騎士団長仕様とはどういう意味か?
  3. 「ある聖戦士に捧ぐ」とはどういう意味か?

記憶違いでなければ、ナの国という設定はなかったはずです。それに、ナの国近衛騎士団長仕様なのにある聖戦士ってなんだ? ショウは近衛騎士団長じゃないし、ショウクラスの聖戦士じゃないとヴェルビンは動かせないぞ…謎は深まるばかりです。

 

ということで本棚から引っ張り出した資料がこちら!ドン!

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ダンバインの資料としてはこの二つは避けられない。『AURA BATTLERS AURA FANTASM(以下オーラファンタズム)』と『聖戦士ダンバイン ノスタルジア(以下ノスタルジア)』です。猫は資料ではありません。検証にはこの二つの資料だけを使います。

検証の前のおさらい

検証に入る前に、ダンバインスパロボでしか知らない方も多いでしょうから、前提をざっくりと確認していきます。詳細はWikipediaダンバインの項目を読んでもらうとして…

聖戦士ダンバインは1983年のアニメです。ちなみにガンダムは1979年、ダンバインの前番組はザブングル、後番組はエルガイムです。スパロボ好きにはお馴染みの名前ですね。

番組開始当初のスポンサーはクローバー、途中でクローバーの倒産によりバンダイとトミーに引き継がれます。このクローバーが作品全体に大きな影響を与えることになります。

当時のアニメは基本的に玩具販売と一心同体であり、スポンサーである玩具メーカーの意向は非常に強く反映されていました。玩具の販売不振は作品の方向性に影響し、最終的には打ち切りになる。あの初代ガンダムですら初回放送時はおもちゃが売れず52話→42話で打ち切りなので、そういう時代だったのです。

さて、ダンバインに関しても玩具販売は振るいませんでした。となれば、メーカー側としては売れるロボットを出せ、ということになるわけです。生物的なフォルムのダンバインでなく、もっとメカっぽく、玩具として売れるものを!

そうして生まれたのがビルバイン、後半の主役機です。一応、飛行形態であるウイングキャリバーに変形すると鳥のようになりますが、明らかに世界観に合わない「ロボット」になってしまいました。ところが、当のクローバーはビルバインの登場を待たずして、1983年8月に倒産してしまうという。ショッギョムッジョ!

さて、そんな悲劇の機体ビルバインですから、当時のデザイナーさんたちの抵抗の跡であるところの色々なバージョンがあるわけです。順番にいくと、湖川版ビルバイン(ボツ)→出渕版ビルバイン(準備稿)→ビルバイン(決定稿)→出渕版ビルバイン(ボリュームUP)→ヴェルビンです。それぞれのデザインラフは『オーラファンタズム』に掲載されていますが、なにぶん現在は入手困難な書籍なので、どうしても見たければまあ頑張ってください。ヴェルビンのデザインラフは、プレミアムバンダイ製品ページで見ることができます。

 

アプローチ1:資料を再検証する

さて、前置きが長くなってしまいましたが、最初にして最大の疑問、ヴェルビンはナの国のオーラバトラーなのか?

『オーラファンタズム』のヴェルビンのページから解説文を引用します。

アの国でのオーラバトラー開発の流れは当初、重攻撃型のドラムロと高機動型のダンバインから始まった。その後多く新技術や実験、改良を加え、重攻撃型はマサラグ、レプラカーンを踏んでズワースに到達した。一方、ブラウニー、ビランビーという過程を踏んで高機動型の究極に達したのがこのヴェルビンである。

『AURA BATTLERS AURA FHANTASM』p.22

ヴェルビンに関しては、本編放送終了後のものなので、解説としては上の引用文が全てです。やっぱりアの国じゃんか! 「アの国での〜」がかかるのが最初だけで、2文目以降がすべて国籍問わずオーラバトラー開発史全体を指していると読むのは無理があります。それなら、重攻撃型にはビアレス(クの国)、高機動型にはボチューン(ラウの国、ナの国)あたりも触れられているべきでしょう。

次に、オーラバトラー開発史を確認します。図を文章化するのがなかなか難しいのですが…

まず、『オーラファンタズム』では、オーラマシン進化系統樹として、ゲド(ア)からドラムロ(ア)とダンバイン(ア)に分岐し、ドラムロ(ア)→ビランビー(ア)→レプラカーン(ア)→ライネック(ア)→ズワァース(ア)というルートと、ダンバイン(ア)→ボチューン(ナ)→ビルバイン(ナ)というルートが書かれています。なお、バストール(ア)はビランビーとレプラカーンの間で分岐し終点、ビアレス(ク)はレプラカーンから分岐しズワァースに合流、またダーナ・オシー(ギブン)→ボゾン(ラウ)はボゾンからボチューンに矢印が伸びています。

この図は、高機動型のライネックやバストールと重攻撃型のドラムロやレプラカーンが同じライン上に並べられていることと、括弧書きで国名表記までしてアの国とクの国、ラウの国とナの国で分けられていることから、陣営ごとの進化樹を示していると見て間違いないでしょう。どちらかというと登場順に近い。

次に、『ノスタルジア』では、オーラマシン開発系統図として、ゲドからドラムロとダンバインダーナ・オシーに分岐します。こちらでは「機動性重視」としてダンバインビランビー→バストール→ライネックのルートと、「重装甲・火力重視」としてドラムロ→レプラカーン→ズワァースのルートが書かれています。なお、ビランビーからはビアレスとレプラカーンに、ビアレスからはライネックとズワァースに矢印が書かれています。ビルバインに至るルートは、ゲド→ダーナ・オシー以外はオーラファンタズムと同一です。

どちらかというと、『ノスタルジア』の図の方が資料としての正確性は高そうです。クの国独自開発のビアレスにビランビーから矢印が出ている点と、アの国のズワァースにビアレスから矢印が出ている点は多少気になりますが、表立っては同盟国同士の技術交流、裏ではガロウ・ランのスパイ活動と想像できなくはない。なお、『ノスタルジア』の図には国名表記はありません。

さて、困ったことにヴェルビンの解説文と『ノスタルジア』の開発系統図が真っ向から対立してしまいました。というより、『オーラファンタズム』の図が使えないので、本編準拠のノスタルジア図に載ってないのは当然というか。アプローチを変える必要がありそうです。

アプローチ2:ヴェルビンとは何かを考える

開発史から攻めることに失敗したので、そもそもヴェルビンとは何かというところを掘り下げます。

大前提として、初出は『オーラファンタズム』で間違いありません。本編はもちろん未登場、「ヴェルビン」という名前と姿が公になったのも放送終了後です。

では今日、出渕版ビルバインと称されている根拠は何か?

これは、『オーラファンタズム』p.91にも掲載されているデザインラフの出渕版ビルバイン(準備稿)にヴェルビンの面影があることと、ヴェルビンのフォルムからダンバイン系であることが容易に推測できること、この2点であろうと考えられます。

先に引用した通り、当のヴェルビンの解説文にはダンバインから始まった高機動型の最終形である旨は書かれていますが、スポンサー都合がなければビルバインになるはずだったものである等の直接的な表現はされていませんし、ボクの知る限り出渕氏本人のその趣旨の発言は記憶にありません。ただし、『オーラファンタズム』に収録されているクリエイター対談やノスタルジアビルバインのデザインラフの項目等、挙げればキリがないほどに、「出渕版ビルバインとも言われるヴェルビン」の類の表現が掲載されていますので、当時からヴェルビン=出渕版ビルバインが一般的な認識であったことは確かです。氏がヴェルビンについて公に何も発言していないのも、特にする必要がなかっただけかもしれませんし、記録に残っていないところではそのように発言していたかもしれませんが、推測の域をでません。

まあ、氏のビルバイン嫌いは下記の通りなので、「ヴェルビンが自分にとってのビルバインだ!」くらい言っていてもおかしくはないです。『ノスタルジア』のスペシャルインタビューの中の、PSゲーム『聖戦士ダンバイン』プロデューサー、バンダイの稲垣氏へのインタビューより引用します。

ダンバイン派のほうが多いんですよね。開田さんもそうでしたし……。

稲垣:でしょうね。だって異端なんですよ、ビルバイン派は。だってアレですよ、出渕さんに今回、ゲームのパッケージをお願いしたときに「ビルバインじゃないですよね」「ええ」って(笑)。そういう意味合いのね、正確な言葉じゃないですよ。

─嫌いなんじゃないですか?

稲垣:そうかもしれないですね(笑)。(以下省略)

聖戦士ダンバイン ノスタルジア』p.204

うーん、しかし、ヴェルビンについてもたいした資料的裏付けが得られません。ああだこうだ考え始めてもう3日経ったよ!

アプローチ3:設定から推測する

ヴェルビン本体の掘り下げにも失敗したので、もはや設定的辻褄合わせから妥当性を検証するくらいしかアプローチがありません。

まずは『オーラファンタズム』のヴェルビンの解説文を根拠にする、アの国のオーラバトラーとする説。

ダンバインはアの国のオーラバトラーなので、その系譜として登場することに不自然な点はありません。オリジナルの深緑基調の地味なカラーリングもアの国らしい…というよりビルバイン的でない。オーラバトラー本来のカラーリングです。『ノスタルジア』では本編における高機動型の最終形に位置付けられているライネックとほとんど同じカラーリングであることも、アの国のオーラバトラーとする説を補強する材料にできそうです。

一方で、ヴェルビンをアの国のオーラバトラーとした場合、一般的認識のヴェルビン=出渕版ビルバインという解釈との辻褄合わせが大変です。玩具不振の影響はビルバインだけでなく、ストーリー全体にも及んでいて、バイストン・ウェルから地上に出るところもその一つですから、そういったテコ入れが行われずに当初の構想通りに進んだ場合の可能性、というところでしょうか。

とはいえ、なんといっても解説にアの国と書いてあるのだから、資料的裏付けの強さはこちらに分があります。

次に、実際の製品名と一般的認識のヴェルビン=出渕版ビルバインから、ナの国のオーラバトラーとする説。

この場合、検証らしい検証も、裏付けすらも必要ないかもしれません。なにしろ製品名がナの国近衛騎士団長仕様ですし、それを命名したのは創造主である出渕氏だというのです。ヴェルビン=ビルバインであれば、開発系統のビルバインの位置にヴェルビンを置くだけのこと。ラウの国とのボチューン共同開発によってナの国のオーラバトラー生産技術も上がっていますし、本編には登場していませんが、アの国以外のオーラマシン技術の急速な発展にはアの国のショット・ウェポンにあたる地上人の技術者が各国に関わっていることが資料にも示唆されています。むしろ重火器マシマシのビルバインよりも設定上オーラソードしか持っていないヴェルビンのほうが、ナの国やラウの国のオーラバトラーらしい軽装と言えなくもない。テコ入れはストーリーだけで、ビルバインのデザインは死守できていたなら、地上界でヴェルビン的なビルバインか、ビルバイン的なヴェルビンが暴れていた可能性はある…かもしれません。

ただ、ナの国のオーラバトラーと断定するには、ヴェルビンそのものの解説文が間違いだと否定しなければならない。アとナの誤植程度であればあり得る話ですが、文章自体はどう読んでもアの国だと言っているので、解説文すべてが間違い、または設定が変わったと結論づけなければなりません。出渕氏本人ならともかく、一ファンの立場でそれは恐れ多い…。

さあ、いよいよ困った。4日もヴェルビンのことばかり考えていたのに結論が出せません。こうなれば最後の手段です。つまり…

アプローチ4:諦めて都合のいいストーリーを捏造する

資料的にも背景的にも、今回のネーミングを裏付けることができませんでした。斯くなる上は、調べ上げた設定から自分を納得させるための辻褄合わせストーリーをでっち上げるしかありません。即ち…

ヴェルビン(緑)はアの国のオーラバトラーであり、ダンバインから始まった高機動型の究極である。アの国で開発、生産されたが、コモンでは新型オーラ増幅器を用いても必要オーラ力に達しないため、一般兵にも比較的扱いやすいライネックが量産された。一方、試作に留まっていたヴェルビン(緑)は、ゼラーナ隊を擁するナ・ラウ連合軍により奪取され、ナの国でカラーリングの変更を含むチューンナップを施された上で、ヴェルビン(紅白)としてショウに贈られた。その際、近衛騎士団長に匹敵する活躍を期待する意味を込めて、ナの国近衛騎士団長仕様と命名された…

創造主の言うことを否定できない以上、アの国とナの国のヴェルビンを同時に成立させるにはこれしか思いつきませんでした。苦し紛れではありますが、本編の高機動型最終形のライネックを絡めて説得力アップを図ったり。「ナの国近衛騎士団長仕様」という謎の名前も、奪取した敵国のオーラバトラーを塗り替えただけで本国の旗機にするわけにもいかないし、ナの国近衛騎士団にはナの白き護りことボチューン(白)があるし、そもそも近衛騎士団長だろうとコモンではまともに動かせないヴェルビンを、唯一動かせそうな無所属のゼラーナ隊の聖戦士であるショウに押し付けつつ恩も売って働かせようという、大国らしいしたたかさがあると思えてきました。全部妄想だけどな!

おわりに

如何だったでしょうか。

え? それで結局買うのか買わないのかって?

予約してから書いてるに決まってるでしょうが! 神の言うことに間違いはないんだよ!

以上です。